医療経営のための税務調査対策 Q&A

  • Q 18 非常勤医師に対する源泉徴収
  • A 18

    医療機関では、慣習として非常勤医師の給与を手取りベースで契約し勤務の都度現金で支払うケースが見受けられます。 非常勤医師は他にもいろいろな勤務先での収入があるため、 非常勤の勤務先に対しては「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出をしていないのが一般的です。
    このような場合、非常勤医師の給与に対して適用される源泉徴収税額は、日額表 (勤務の都 度現金で支払っているため) の乙欄 (「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がないため)となります。
    例えば、1日あたり手取り5万円の非常勤医師 (扶養親族等の数が0人、社会保険料等の控除がないと仮定します。) の場合、源泉徴収税額は、29,661円と高額になってしまいます。



    <1日あたり手取り5万円の場合の日額表乙欄の計算例〉

    一回当たり総支給額:X円とすると

    X-(11,930+(X-33,000)×38%)=50,000

    よってX=79,661円、源泉徴収税額29,661円となります。



    また、実務的には、上記のように高額になる為に

    ①月間の給与総額をあらかじめ定め、これを月ごと又は派遣を受けるつど、分割して支払う
    ②月中に支払う給与をまとめて月ごとに支払うこととする

    というふうに医療機関側にて支払基準を定めて支払う場合には、源泉税は「月額表の乙欄」を適用することが可能ですのでこの方法をお勧めします。