医療経営のための税務調査対策
Q&A
- Q 22 医療法人設立創設理事長への役員退職金
- A 22
役員の退職金は、今までの職務執行に対する報酬の後払いや功労に対する報奨的支払であるといわれていま
す。そのため、役員退職金の適正額の判断は、その役員の勤続期間、退職の事情等を総合勘案して判定するこ
とになります。
理事長の役員退職金が適正であるかどうかは、
① その理事長の従事期間
② その退職の事情
③ その医療法人と同規模の医療法人の理事長に対する支給状況
などを総合勘案して判定することになります。
一般に、役員に対する退職金については、退職時の適正報酬額に従事年数を乗じて算出した金額に功績加算
をした金額が一応の目安になっており、この算定には功績倍率方式といわれているものが使われています。
功績倍率方式とは退職時の適正役員報酬月額 × 勤続年数 x 功績倍率
個人で開業されている先生に対する退職金は認められていません。医療法人であれば、理事長も退職金を取
ることができるのにと思いの方もいると思います。そのような不公平を解消し、 同時に所得税の節税にもつな
げることができるのが 「小規模企業共済制度」です。
小規模企業共済制度は、個人事業主にとっての退職金制度になります。月々一定額の掛け金を払い込むと、
満期時 ( = 廃業時又は死亡時) に満期金が受け取れますが、この満期金は税務上退職金扱いとなります。
※ 生前退職の場合には満期金を分割で支給を受けることもできます。その場合には公的年金等の雑所得と
して課税されます。
また、任意解約した場合には原則として一時所得となります。 (65才以上の任意解約の場合は退職所得とさ
れます) さらに、月々の掛け金は所得税の計算上、全額を控除する事ができこれにより所得税の税額も軽減す
ることができます。
退職金の税務上の取扱いにつきましては、以下の通りになります。
① 生前退職金
勤続年数を考慮し一定の金額を控除後さらに1/2をした金額に対して所得税が課されます。
② 死亡時
退職金として受け取った金額から一定の金額 (500万円×法定相続人の数)を控除した金額に対して相
続税が課されます。