医業経営支援_福岡市中央区の長公認会計士事務所












確定申告以外に税金関係でやらなければならない作業はありますか?


 

年末調整と償却資産税の申告です

(1)年末調整
年末調整とは、一年間の給与に対する所得税を計算し、毎月の給与支給時に預かっている所得税との差額を精算することをいいます。
開業しますと、従業員さんに対してこの作業を必ず行わなければなりません。
また、年末調整作業と併せて、『法定調書』というものを作成し所轄税務署へ提出しなければなりません。
更に『給与支払報告書』というものを作成し、従業員の住所所在地の市区町村に提出しなければなりません。
(2)償却資産税
土地・建物には固定資産税、自動車には自動車税がかかるように診療所の内装・医療機器・パソコン等の固定資産には償却資産税という税金がかかります。
償却資産税は1月31日までに市町村へ申告しなければなりません。

 



確定申告の際に必要な資料はなんですか?


 

診療所に関する収入及び経費の他に、以下のような資料が必要となります

(1)診療所(事業所得)以外の所得がある場合
他の医院で診療をしている、原稿を書いている等、診療所以外での収入がある場合は、それらの収入も所得に含めなければなりません。

確定申告の際には下記の資料を添付します。

@他の医院からの給与、校医などに係る源泉徴収票
A原稿料、講義料、指導料などに係る支払調書
 
その他不動産収入、不動産・株式等の譲渡がある場合には別途資料が必要となりますので担当税理士にご相談下さい。

(2)その他に必要となるもの
必要となる書類のうち代表的なものは下記の通りです。

@社会保険診療報酬支払基金から送られてくる支払調書
Aその年に支払った医療費の領収書(合計で10万円以上あれば医療費控除がうけられます)
B住宅ローン控除を受けている場合は金融機関から交付される借入金の年末残高証明書(初めて受ける際には謄本・売買契約書・住民票等が必要となります。)
C社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
D国民健康保険等の支払明細
E保険会社から郵送されてくる生命保険・地震保険の控除証明書
F小規模企業共済の証明書
G寄付先からの寄付金受領書と関連証明書

この他にも資料が必要となるケースがありますので、担当の税理士にご確認下さい。

 



開業後の私の税金はどう変わりますか?


 

申告して納税する必要があります

開業前は勤務先が税金を給与天引きし、年末調整してくれましたが、開業後は先生の税金は申告して納税しなければなりません。
更には、従業員の給与から預った税金も先生が所定の時期に納付しなければなりません。

納税も申告も期限に遅れるとペナルティがありますし、資金繰り上も納税時期・金額は重要になります。
その年の診療所の収入から経費を引いた儲けを「事業所得」として、他の所得とまとめて確定申告して所得税を納めます。

また、一年間の税金が一定額以上の場合、予定納税として前年税額をもとにした額を分割して前払いします。
確定申告をすれば住民税の申告は必要なく、市町村から届いた納税通知により納付します。
診療収入の内容や収入額により消費税や事業税(社会保険診療以外の収入に対してかかります)がかかることがあります。

また不動産等をお持ちの場合には固定資産税も納めます。
その他先生の税金ではありませんが、従業員の給与や賞与から預った源泉税は、原則翌月10日までに納付しなければなりません。
ただし、従業員が9名以下の場合には年2回(1月から6月までの預り分を7月10日に、7月から12月までの預り分を翌年1月20日に納付)にわけて納付することもできます。

 



月々の請求書はどのタイミングで支払えば良いでしょうか?


 

開業後に係る固定的な支出には、以下のようなものがあります

@給与
A家賃
C水道光熱費
Dリース料
E借入金の返済等

通常は支払時期が定められているものがほとんどですが、こちらで支払日を決めるもの(給与等)もあります。
このような場合には必ず『締め日』と『支払日』を分けます。(例えば、20日〆の末日払い。)
特に開業後2ヶ月間は社会保険診療報酬に係る入金がありませんので注意が必要です。
また、自由診療報酬の比率が高い場合等は、入金日が定まらない場合もありますので資金繰りをしっかり計画して下さい。

 



妻に給与を支払うことが出来ますか?


 

原則必要経費になりませんが、場合により必要経費に算入することができます

青色専従者給与
生計を一にしている配偶者やその他の親族が診療所経営に従事した場合に支払われる給与は原則として必要経費にはなりません。
しかし、青色申告者の場合配偶者やその他の親族を青色事業専従者として届出を出すことによって必要経費に算入することが出来ます。

 専従者給与の要件
@青色申告者と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること
Aその年の12月31日現在で15歳以上であること
Bその年を通じて6ヶ月間を越える期間その青色申告者の営む事業に従事していること。(一定の場合には事業に従事する事が出来る期間の2分の1を越える期間従事すること)
C青色申告専従者の届出を支給する年の3月15日までに提出していること(新規開業の場合開始してから2ヶ月までに提出)

専従者給与の適正額
青色専従者に支給する額は、所得税法によると『その労働の対価として相当な金額であること』とあいまいな表現になっています。
しかし、金額に妥当性を持たせる為に以下の点に注意して支給額を決める必要があるでしょう。

 @勤務実態や執務内容を考慮した適正な金額であること
 A専従者の年齢、資格、従事期間に見合った金額であること
 B支給額が他の職員と比べて著しく高くないこと
 C同じ規模の医院と比較して著しく高くないこと

一般的に専従者給与は他の従業員と比べると通常の業務の他、給与計算や会計業務の記帳、医院の資金繰り等を行うという理由により高額になることもあります。
この場合には、タイムレコーダーにより出勤確認をすることはもちろんのこと、業務内容を明確にする為に業務日誌をつけておくこと、会計帳簿の記帳をしていればその筆跡の確認も行えるといったその後の税務調査の為に勤務実態を実証するための資料を残しておくことが重要といえます。

 



スタッフの給与の計算について教えてください


 

以下に、給与計算についてご説明します

給与計算
給与は医院の為に働いてくれたスタッフさん方への報酬です。
給与や賞与の支給額等の間違いは、お互いの信頼感を損なう恐れもあり、不信感を抱かれる第一歩になりかねません。
気持ちよく働いてもらう為にも、給与計算は締め日を決めてから支給日まで余裕をもった間隔をとり、計算を行いましょう。
給与計算は、単に月給・時給・交通費の金額の算定だけでなく、源泉所得税や医院の人数等によっては健康保険料・労災・雇用保険料の徴収義務が給与支払い事業者に生じます。
支給額によって徴収額も変わりますので、注意して計算しましょう。
所得税の計算をするには、通常「源泉徴収税額表(月額表)」を使用します。
月額表には、甲欄・乙欄とがあり、下記のように使い分けることが必要です。
最初の給与計算を始める前に、まず従業員の方々に「扶養控除申告書」を提出してもらいましょう。
ただし、この申告書は、1事業所にしか提出できませんので、複数箇所から給与をもらっているスタッフには、主たる事業所を確認して、提出してもらいましょう。

@甲欄
「扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員
A乙欄
「扶養控除等(異動)申告書」を提出していない従業員

注意すべき点は、スタッフがその労働の対価として支払を受けるものは、金銭だけではなく、昼食代・借り上げ社宅家賃・社員旅行等も現物給与として課税の対象となることがありますので、必ず税理士とご相談の上金額を決めるようにしましょう。

 



スタッフの研修において、注意すべきことはありますか?


 

「見られている・聞かれている」という意識をもつことが大切です

受付窓口の仕事とは何かを考えますと、「診察券を受け取ってカルテを出す」「会計の精算をする」「次回の予約を入れる」等たくさんあります。
これらの業務の他に、「患者様を暖かくお迎えすること」「患者様を暖かくお見送りすること」というサービス面の業務(接遇)も含まれます。
通常の業務が忙しいという理由で、接遇をなおざりにすることは医院経営において大きなマイナスです。
開業前の研修においても接遇研修を取り入れ、開業後も定期的に研修や見直しをするようにしましょう。

@外部講師の研修に参加させる
スタッフの育成は、診療所経営の基本です。
先生ご自身がスタッフの教育に手が届かないような場合には、外部講師に任せるのも決して無駄になりません。
A内部で検討会を開く
検討会や反省会のような場を作り業務の検証を行うことも重要です。
その場で風通しよく、改善すべき点を言いあえれば、この検討会の設立は大きな意味を持ちます。
B先生ご自身が教材
 先生は常にスタッフから観察されています。
 スタッフをどんなにすぐれた研修に参加させたとしても、先生ご自身ができなければスタッフもできません。
 スタッフの行動は、先生ご自身の鏡であることを忘れずにいてください。

医業=サービス業という観点から、私達は「見られている・聞かれている」という意識をもつことが大切です。

 



消費税は患者様からいただくのでしょうか?


 

医院の収入については消費税がかかるものと、かからないものがあります

(1)課税取引と非課税取引について 

医院の収入については消費税がかかるものと、かからないものがあります。消費税がかかるものについては患者様から消費税をお預かりします。 消費税がかかるもの健康診断、美容整形、文書料、予防接種、差額ベッド代、歯ブラシ等の物品販売、自販機手数料など 消費税がかからないもの社会保険診療収入、自賠責保険収入、労働災害保険収入などまた、学校医等の報酬は「給与所得」となり消費税がかからないものとなります。
 
(2)課税事業者と非課税事業者について 

患者様からお預かりした消費税は、診療所以外の所得が以前からある場合は別ですが、開業して2年間は基本的には消費税を納める義務はありません。これは納めるかどうかの判定期間が2年前の年になるためです。 3年目以降は基準期間である2年前の年の収入のうち「消費税のかかる収入」が年1,000万円を超える年は翌年3月31日までに申告し、納税しなければなりません。例えば、X年の「消費税のかかる収入」が1,000万円を超えた場合には、X+2年はX+2年分の消費税につき、翌年(X+3年)の3月31日までに消費税を申告する必要があるということです。  

(3)簡易課税について 

2年前の年の「消費税がかかる収入」が5,000万円以下の年は、消費税の計算方法につき簡易課税という簡便的な方法を選ぶこともできます。ただし、一度簡易課税制度を選択すると、同制度を2年間継続して適用した後でなければ原則的な計算方法に戻ることができません。簡易課税を選択する場合には、選択をすることの有利不利の判断や、一定の期日までに届出の必要がありますので、税理士等にご相談ください。

 



窓口でいただく現金はどのように管理したら良いでしょうか?


 

窓口管理表を作成しその日の収入金額をそのまま通帳に入金することです

窓口でいただく現金を管理するポイントは、窓口管理表を作成しその日の収入金額をそのまま通帳に入金することです。
収入に関する現金の流れを示すと下記のようになります。

@1日に必要な釣り銭の一定額を決め、毎朝その額をレジに用意しておく。
Aレジとは別に経費の支払専用に小口現金を用意しておく。
 小口現金からの支払いは、領収書を保存し、日々残高を確認するようにする。
B1日が終了した時点で、最初の釣り銭を除いて、残りのレジ内の現金を封筒に入れる。
Cレジペーパーの現金売上と封筒にある現金が一致しているかを確認する。
 仮に不一致の場合には、原因を追及し、それでも不一致の場合には、「現金過不足」として窓口管理表に記入する。
D銀行にこの封筒を預け入れる。毎日銀行に行くのが無理な時には、1週間毎等一定間隔で封筒ごとに日付順で預け入れる。
 預入口座については、窓口入金専用にすると納税資金等の積立口座として活用することができます。

このように現金の流れをしっかりコントロールすることは、従業員の不正を未然に防ぐと同時に先生自身のプライベート費との区別に役立ち、結果として健全な医院経営への一歩を踏み出すことができます。
また、税務調査における「売上計上漏れ」は、窓口収入の取扱が焦点になりますので、現金の管理には細心の注意を払うようにして下さい。

 



開業までに要した経費について注意すべきことを教えて下さい


 

領収書・請求書を保存しておくことが重要です

開業までにかかった経費についても、開業後の必要経費同様、医療収入から差し引くことができます。
ただし、「開業準備のために特別に支出する費用」でなければならないので、後日においてもそのことが説明できるように、領収書・請求書を台紙に貼り付けて保存するようにしてください。

@交通費
診療所の下見や保健所等への移動のうちタクシー代など領収書のあるものは、何の目的で移動したかを記入するようにして下さい。電車やバスなど領収書のない交通費が発生した場合には、支払日・支払先・金額・支払者・支払理由等を記入した支払証明書等を領収書の代用として作成し保存して下さい。
A打合せなどの飲食代
開業のための打合せなどの飲食代も開業後に経費とすることができます。ただし、個人的な支払いとの区別がつきにくので、「いつ・誰と・何の目的」で支払いをしたのかを記入するようにして下さい。
Bその他の領収書
例えば、診療所を借りる際に手付金を支払ったが別の物件に変更したなどの違約金等も開業後に経費にすることができます。

このような場合や経費になるか不明な時などは、領収書だけではなく、どうして支払いが生じたのかを明らかにできる資料も保存するようにし、税理士等に相談されて下さい。

 



効果的な開院広告について教えてください


 

開院日の1〜2週間前から開院直前にかけ、複数回に渡る広告が効果的です

開院広告の時期は、開院日までに日がありすぎても記憶がうすれてしまうこともあるので、開院日1,2週間前と開院日直前のチラシ等による広告、また開院前の週末1,2日間の内覧会実施による広告等が効果的だと思います。
広告手段は様々ですが広告媒体ごとの特徴をつかみ、複数の広告媒体を効果的に使うのが良いと思います。
主な広告媒体の特徴は以下の通りです。

媒体 メリット ポイント
駅広告 多くの人の目に触れる道案内への効果が大きい 他の媒体に比べて比較的料金が安い
電話帳広告 急患の利用が多い 休日・夜間の診療時間等の記載がポイント
折込広告 広告する地域を絞り込むことが可能即効性が大きい 直接手元に残る情報伝達が大切
ポスティング 地域を選んでの配布が可能即効性がある 折込広告と比べ手にとって見てもらえる確率が高い
ホームページ 詳しいクリニックの情報が出せる予約制を考える場合は効果的 常に検索した場合トップに表示されるような工夫が必要


広告内容については医療法で広告して良いと認められている項目に制限があるので注意が必要です。



内覧会も、自由に院内の設備や院長・職員の人柄に触れていただける場を持つことが出来ます。


いずれにしても広告にかかる費用は安いものではありません。
初診患者への問診票等に欄を設けて、どの広告媒体により医院を知ったのかをアンケートするなどして、しばらくしたら広告媒体ごとの費用対効果を検証の上、それぞれの診療所にあった効果的な広告をすることが必要だと思います。

 



スタッフの募集はどのようにしたら良いでしょうか?


 

スタッフの募集方法には、以下の方法が考えられます

@新聞の折り込み広告・求人情報誌
Aハローワーク
B人材派遣会社
Cホームページ
D友人、知人からの紹介

医院のスタッフは、そのクリニックの顔になる存在ですので先々の事を考えて採用することが重要です。
募集を開始する時期ですが、通常は医院の広告・宣伝を考え始めるのと同じ時期に取りかかる場合が多いようです。
新聞の折り込み広告に募集を出すことによって、地域の人々にクリニックの事を知ってもらうという宣伝効果を兼ねることも出来るからです。
どの媒体を使った方がより効果的に人が集まるかは・地域によって差異があります。
また、新聞の広告求人情報誌に掲載するとかなりのコストもかかってしまいます。
その点ハローワークでは、コストがかからないので、有効に活用してみるのも良いでしょう。
また、地域によっては、有資格者の確保は難しいことがあります。
地域の看護学校等に広告掲示を依頼し、学校の先生方又は知人に紹介していただくのも良い方法です。
ただ逆に、採用後は自分の医院に合わない場合でも率直に意見を言いにくいという場合もありますので、長い目で採用を考える方が良いでしょう。
次に、人材派遣会社を活用する方法もあります。
『経験者・有資格者の確保・クリニックに合った条件を提示できる』という点で有効です。
一見この場合、よりコストが掛かるように思われがちですが、人材派遣の場合・通常の従業員と比べ賞与の支給や社会保険等の費用が掛からないので、長い目でみた場合逆にコスト削減につながるところもあります。
また、何度でも面接させてもらえますし、採用に至らなかった場合でも原則的に費用はかかりません。
より良い人材を確保する上で、人材派遣を利用することは有効な手段といえるでしょう。
ただし、条件の合う人材を探すためには、早めに依頼しておく事が必要でしょう。

 



開業についての相談は誰にしたら良いでしょうか?


 

基本的には、複数の業者に協力してもらうことになります

開業に関わる必要項目を列記してみますと、次の通りになります。

不動産業者
…物件検索や賃料の交渉、契約書の作成をしてもらう。
設計士
…予算に応じた医院の設計をしてもらったり施工業者の選定をしてもらう。
医療機器卸業者
…医療機器や備品等の総合的な金額を算出してもらったり、使用機器のアドバイスをしてもらう。
広告業者
…開業時の広告・看板ロゴマーク等のアドバイスをしてもらう。
税理士
…開業時における事業計画書の作成や銀行交渉及び開業後の税務・経営相談や確定申告等をしてもらう。


開業コンサルタント
…物件の選定から従業員の面接や教育など、開業までの一連の流れをすべてサポートしてもらう。

以上のようになりますが、最も重要な所(診療圏)を中心に、全体をコーディネートできる専門家(税理士・コンサルタント等)に依頼し、窓口を一本化すると便利です。

 



設備等は購入したほうが良いですか?それとも賃借(リース)したほうが良いですか?


 

各々について、メリット・デメリットがあります

設備等を購入するか、リースにするかは、リースのメリット・デメリットを十分に理解された上、その時の状況により検討する必要があります。

リースのメリット
@リース期間で均等償却を行い必要経費になる。
Aリース期間は法定耐用年数より短い。
B購入時の多額の資金が不要。

リースのデメリット
@中途解約することができない。
A購入に比べ支払合計は割高になる。
B物件の所有権がリース会社にあるため、リース契約終了後も物件を使用する場合には、再リースか買取りをしなければならない。


一方、設備等を購入する場合には、一度に多額の資金を用意する必要があります。
自己資金だけでは不安な場合には、融資を受けることになるため、金利負担も考慮が必要です。
また、別途、償却資産税や保険料といった費用も発生しますことにご注意ください。
ただし、購入後は、個人開業医の場合、選定を行えば定率法という方法で減価償却を行えますので、早い時期に多くの経費を計上することができます。

購入にするか、リースにするかは、リースのメリットにいかに重きをおくかによります。一方の購入の最大のメリットは、支払総額がリースに比べ少ないことです。
従いまして、自己資金に全く問題がないのであれば、購入の方が有利な場合がほとんどです。

 



開業場所はどのようにして決めたら良いのでしょうか?


 

自分の経営コンセプト等をはっきりさせすことがポイントです

開業地の選定は医院開業にあたり最も重要な項目の一つです。
基本方針をまず決める。

@土地・建物購入か賃貸なのか?それによりどの位の資金投資ができるか?
A自分が診療行為をしていく上で必要なスペース
B開業を考えている場所の地域特性(住宅地型、駅前型、郊外型など)

上記の基本方針が確定したらさらに細かい検証をし(下記参照)自ら優先順位をつけ物件の情報を検索していきます。


一般的な検証条件
・ 患者にとって探しやすく、来院しやすい場所
(一般的に通院時間が20分圏内の患者が多数来られます)
・現在の勤務場所に近い地域
・現在の住居地周辺や自分の出身地
・標榜科目が周辺エリアの人口年齢構成とマッチしているか
・ 競合科目医院の少ない地域
(競合科目医院が多ければ、その医院との差別化が必要になります)
・街としての将来性
・病診連携、診診連携がしやすい場所
・住居と医院が別の場合、通勤しやすい場所
・駐車場の確保がしやすい場所等

様々な条件が有る中ですべてに自分の理想に叶う場所はなかなか見つからないのも事実です。
但し、開業場所は最重要ポイントの一つですから、現実の売上(診療収入)を重視して下さい。
また、自分の経営コンセプト等をはっきりさせ、後は専門家に依頼することが望ましいと考えられます。

 



親族から借入れをする場合の注意点はどのようなものですか。


 

贈与と認定されないための注意が必要です

親や親類等から借入れをする場合には、第三者から借入れる場合と違い税務上注意しなければならないことがあります。
それは身内であるために「借りたのではなく貰ったのではないか?」ということで贈与として税金を課される恐れがあるためです。
贈与と認定されないためには、次のような注意が必要です。

まず第三者から借入れる場合と同じようにすることが重要です。
例えば自分が誰か他人にお金を貸すことを考えてみてください。
後日「貸したよ」「いや貰ったんだ」等もめないように、またいくら貸したのかわかるようにしておきますよね。
そのために親族との間で契約書(金銭消費貸借契約)を取り交わしておきます。
契約書には、借りた金額・弁済期限・支払方法等を記載し、それぞれが署名と押印をします。
個人間の借入れであるため利息は支払わなくてもかまいません。また返済期間等も決まりはありません。

大事なのは契約書通りに返済しているという事実です。
ですから借入れたお金や返済したお金は、入出金の事実が確認できるよう銀行を通じて行い、現金でのやり取りは決してしないようにしてください。
そして契約書は、ご自身の資金繰りを考慮し、余裕を持った返済計画に基づいて作成されるのが良いと思います。

また、開業資金に用意した資金が、自己資金であろうが親のものであろうが、資金の出所については税務調査の対象になる可能性もありますので、ご注意ください。

 



資金調達の方法について教えてください。


 

3通りの方法があります

開業資金の調達方法としては、

@自己の預貯金(全額自己資金)から
A親からの資金援助(贈与、借入)
B金融機関からの融資

があります。

その中でBの融資制度としては以下のものがあります。

1.独立行政法人福祉医療機構
融資の利用できる地域か否かが、診療所の過不足統計によって決められています。融資条件を満たせば、一定期間の元金据え置き制度などもあります。金利は10年見直し金利又は固定金利となっており、民間金融機関等が窓口となっています。

2.日本政策金融公庫
開業を支援する開業融資制度があり、多くの開業医はこの制度を利用されます。比較的に民間金融機関より金利が低く、固定金利であることがメリットです。

3.自治体制度融資
自治体により制度の有無があるので事前確認が必要です。利子補助や設備費用補助などがあります。

4.医師会提携金融機関融資
医師会の提携金融機関から比較的協力的な支援が得られ、都道府県医師会事務局が窓口となっています。

5.民間金融機関融資
従前は担保物件が揃っていることが融資の条件でしたが、最近では無担保での融資金額枠を多く持つ金融機関も多くなってきました。また、信用保証協会の保証も検討されてみて下さい。金利は一般的に公的融資制度に比べて高い場合が多いです。
民間金融機関の特徴の一つとして情報収集力や経営相談力が他の機関よりも優れていることが挙げられます。

いずれにしても、資金調達する際には、返済期間を極力長めに設定することにより月々の支出を抑えた方が医院の運営が資金的に楽になります。

 



開業まで一般的にどのくらいの準備期間が必要でしょうか?


 

開業が決定してから実際に開業に至るまで、約1年間ほど必要です

開業までのスケジュールを簡単にまとめてみますと、以下のようになります。

1.候補地の特定
2.診療圏調査
3.資金調達(資金計画)
4.医薬品卸業者等の選定
5.募集広告、面接、教育
6,開業時広告

 




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