医業経営支援_福岡市中央区の長公認会計士事務所












リゾート会員権の購入にあたり、入会金や年会費についての扱いを教えて下さい


 

当医院は、福利厚生充実の為にリゾート会員権の購入を検討していますが、入会金や年会費などはどのように取扱われるのでしょうか?

以下の説明をご参照ください

【入会金】

リゾート会員権等のレジャークラブの入会金については、「資産計上」又は「給与」として取り扱われます。
資産計上した入会金は、原則的に償却することはできません。ただし、会員としての有効期間の定めがあり、かつ、脱退時に入会金相当額の返還を受けることができないものは、有効期間で償却することができます。

また、特定の職員しか利用できない状況である場合など、個人が負担すべきものであるときは給与として扱われ、所得税が課せられます。
さらに、その特定の方が『役員』である場合において、定期同額給与に該当しないものは、費用(損金)になりません。


【年会費・利用料等】

リゾート会員権等のレジャークラブの年会費等については、 費用計上が認められます。さらに、使途に応じて「福利厚生費・給与・交際費」のいずれかに取り扱われます。
まず、「福利厚生費」として費用計上するには、 職員が一律に利用できる状況でなければなりません。 それには、利用規程を作成し、施設の利用方法等を定めて職員に周知させることや利用状況を記載したノートなどを作り、管理することが望まれます。
次に、特定の職員しか利用できない状況である場合には、その料金は、その特定の方の「給与」として扱われ、所得税が課せられます。

さらに、その特定の方が 『役員』である場合において、定期同額給与に該当しないものは、入会金同様、費用 (損金)となりません。
最後に、得意先等の接待で利用される場合には、「交際費」として扱われます。この場合、その一部又は全額が費用 (損金) になりません。



 



慰安旅行の会計処理はどのようになりますか?


 

旅行の条件により、全額を福利厚生費として会計処理することができます

法人がその役員または使用人のレクリェーションのために慰安旅行の費用を負担した場合には、原則として福利厚生費として取り扱うことが認められています。
ただし、社会通念上一般に行われていると認められる慰安旅行である必要があります。
なお、海外で慰安旅行を実施した場合には、次のいずれの要件も満たしている場合には、全額を福利厚生費として会計処理することが認められています。

@ その旅行に要する期間が4泊5日 (目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数によります) 以内のものであること。

A その旅行に参加する役員または使用人 (以下「従業員等」といいます)の数が全従業員等の50%以上であること。

上記@及びAを満たさない場合、または@及びAのいずれの要件も満たしている場合であっても、いわゆる豪華旅行や法人負担額が多額なものなどは、課税されることとなりますのでご注意ください。
この場合、役員分の旅費は役員賞与として損金不算入となり、従業員分の旅費は給与として課税されます。

 



資本的支出と修繕費について教えて下さい


 

当医療法人で使用しているMRIのオーバホール費用として約300万円を支払うことになりました。
この金額は全額を修繕費として計上してよろしいのでしょうか?
それとも資産に追加計上すべきものが含まれているのでしょうか?
計上時の判断基準を教えて下さい。

判断が難しい場合があります

ご存知の通り、新たな資産を取得するための支出は、資産に計上されますが、既存の資産に対する追加支出は、それが資本的支出として資産に計上されるものなのか、修繕費として費用に計上されるものなのか判断が難しい場合があります。


【資本的支出と修繕費の判断基準】

@20万円未満か          YES → 修繕費
  ↓ NO 
Aおおむね3年以内の周期か   YES → 修繕費
  ↓ NO 
B明らかに資本的支出か    YES → 資本的支出 
  ↓ NO
C明らかに修繕費か         YES → 修繕費
  ↓ NO 
D60万円未満又は前期末取得価額のおおむね10%以下か YES → 修繕費
  ↓ NO
E継続して7:3基準によっているか※             YES → 修繕費※
  ↓ NO 
F実質的に判定して資本的支出に該当するか        YES → 資本的支出 
  ↓ NO 
修繕費

※ 7:3基準によって修繕費に該当あうるもの
資本的支出か修繕費か明らかでない支出の額で、支出額の30%又は取得価額の10%のいづれか少ない金額を修繕費として損金経理したもの

判定は、上記のフローチャートに従って、@からFの順番に行います。@とAに該当するものは、その支出が資本的支出としての性格を有するものであっても修繕費として処理することができます。次に、BとCで、明らかに資本的支出に該当するものと、明らかに修繕費に該当するものに区分します。
この段階で残ったものは、修繕費なのか資本的支出なのか明確に判断できないものということになります。

従ってBCにより判断がつくものをDEによって修繕費として判定することはできません。
Dによる判定は、その支出額が60万円未満、又は前期末における取得価額のおおむね10%以下であれば修繕費となります。
Eによる判定は、継続適用を条件として、支出額の30%相当額と前期末における取得価額の10%相当額のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出として処理する方法です。これらの@からEによっても判断できなかった場合には、実質基準によって個別に判定していくことになります。

病院の医療機器の中には、本体価格が高額で、そのメンテナンス費用だけでも相当な金額が必要となるものがあります。
今回のMRIは、本体価格が2億円近くするもの (期末帳簿価額は約1億円)であったことから、上記のDによる判定 (資本的支出か修繕費か明らかではないが、その金額がその修理、改良等に係る固定資産の前期末における取得価額のおおむね 10%相当額以下である場合) により修繕費として全額経費処理することが認められます。

 



ホームページ製作費用の経費処理はどのようになりますか?


 

以下にご説明します

ご存知のようにホームページとは、文字や写真を使用することによってWEB上で表示されるものです。
医療法人では、「診療案内」「院長の紹介」「治療方針」「交通案内」等の情報を表示することにより、広く多くの方々にクリニックの特色を知って頂く事を目的としています。

全てその期の経費に出来るかという事ですが、原則は支出時に広告宣伝費等として一括損金参入することが出来ます。
 (ただし自社情報を掲載する目的のホームページ作成費用のうち外部業者に委託した費用が前提となります)
それは一般的にホームページが何度も利用出来る性質のものではなく、また長期に使用されるものでもないからです。
 (1年以内に内容が更新されるため) そのため作成費用を支払った時点で全て損金算入する処理が認めらます。

ただホームページの使用年数が1年超となれば、使用期間に基づいて均等償却しなければなりません。
また作成するホームページによっては、プログラミング言語を用いてデータベースやネットワークにアクセス出来るように設定する場合もあると思います。

これらの費用はプログラム作成費用であり、ソフトウェアとして資産計上しなければなりません。
そのような場合のソフトウェア作成費用は、他の作成費用とは別に「無形固定資産」として資産計上することになります。
その場合の償却年数は5年となります。

ソフトウェアを区別出来ない場合は、全額「無形固定資産」として計上しなければなりません。それを避けるためには、見積書・請求書で内容を明確にしておく必要があります。


 



自家用車をクリニック用のものとして使えますか?


 

単純には決められません

院長先生が通勤用目的で使用する車両についての経費算入は、単純には決められません。
なぜなら、医療法人でも個人医院でも経費算入が可能なのは事業に使う車両に限られるからです。

医療法人と個人医院との間には、経費算入の扱い方に違いがあり、医療法人の場合には、ほぼ100%損金算入が可能ですが、個人医院の場合には自己否認 (例:週休1.5日制のクリニックの場合1.5日÷7日=21.4%→切下げ ∴20%) が必要となります。
否認する理由は、上記にも書きましたが、事業に使用しているのかどうかが鮮明では無い部分がある為です。
この差は医療法人のメリットの一つとなっています。

価格の面からは、クリニックの年間収入金額と車両価格とのバランスが重要です。
年間収入金額が3000万円のクリニックで1500万円の車両を損金化 (=経費算入) するのは、判断に困難を伴います。
2台目の取得についても、個人医院の場合なら青色事業専従者が、又、医療法人の場合なら理事が、使用している2台目の車両が該当してきます。
一般的に、医療法人の場合は、使用実態に問題が無ければ、ほぼ100%経費算入が認められております。

しかし、個人医院の場合、院長先生が取得した車両と同様に、たとえ当該車両を毎日通勤に使用していたとしても自己否認割合を高め (例:50%等)に設定する必要があります。
 2台目ということもあり、かなり家事費的な色合いが濃くなります。

又、車両を使用することによりガソリン・保険・修繕・自動車税等・付随する様々な費用が生じてきます。
これらの費用につきましても、その元となる車両の経費算入割合に従って、税務上の処理をすることとなります。

 



寄附金は必要経費になりますか?


 

特定の団体に対する寄附については寄附金控除の対象となります

個人事業の場合には、事業所得の計算上、必要経費とはなりません。
なお、学校法人など特定の団体に対する寄附については、寄附金控除の対象となります。

医療法人の場合には、本来院長個人が負担すべきものであり、役員給与として取り扱われます。


【個人事業者の場合】

国立大学法人や私立大学等の特定公益増進法人に対する寄附金は、所得税で寄附金控除の対象となる特定寄附金に該当します。
寄附金控除は次の算式で計算します。

次のいずれか低い方の金額 一 2千円 = 寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の合計額
ロ その年の総所得金額等の40% 相当額

ただし、学校の入学に関してする寄附金は特定寄附金の対象外となります。
したがって、院長が新入生の父母の場合、所得税法では学校の入学に関してするものとみなされ、寄付金控除の対象とはなりませんのでご留意ください。
 
【医療法人の場合】

ご質問の場合、法人が負担する寄附の相手先は院長の母校というだけであり、本来は院長個人が支払うべきものです。
したがって、法人が負担する金額は院長に対する給与として取り扱われます。
このような臨時的な給与は、法人税では損金算入の要件を満たさないこととなります。
さらにこの分の給与に対して所得税の源泉徴収が必要となります。

なお、院長は寄附金が給与所得として課税されますが、所得税の確定申告において上記〔個人事業者の場合〕の寄附金控除の適用を受けることができます。


 



税務調査について教えてください


 

税務調査には大きく分けて強制調査と任意調査があります

税務調査には大きく分けて強制調査と任意調査があります。
強制調査とは、悪質な脱税容疑者に対し、裁判所が捜査令状を発行し、国税局査察部が強制的に証拠物件や書類を押収して行われる税務調査です。

任意調査とは、申告の内容について確認するために行われる税務調査です。
あらかじめ脱税または不正の事実を把握した上で行われるものではありません。
したがって通常は事前に調査の予定日も連絡してきますし、一般的な税務調査はほとんどがこの任意調査です。

しかし、任意とはいえ税務職員には質問検査権というものが認められており、正当な理由無しにその行使を断った場合には所定の罰則が科せられます。

一般的な税務調査は任意調査ですが、任意調査であっても事前に予告無しに税務職員が税務調査に来る場合があります。これを現況調査といい、現金商売のように多額の現金での取引を行う業種によく行われます。

事前連絡による税務調査の場合責任者不在等どうしても税務調査に応じることが出来ない場合などありますので、税務調査日程については柔軟に対応してもらえます。

任意調査における概ねの調査スケジュールとして3日前後、調査に来る人員は医療機関規模により異なりますが1人〜3人程度の人数となります。

税務調査初日に、理事長または院長にお会いし医療機関概要や経営概況等をお聞きします。
その後帳簿書類の確認や質問が行われ、最後に税務職員より、税務署側の指摘事項・見解等が伝えられます。
納得できない場合は、こちらの見解等を伝え折衝・話し合いを行うこととなり どうしても話し合いがつか
ない場合は、異議申し立て・最終裁判まで発展することがあります。

税務調査時の対応としては下のような点に気をつけてください。

・ 質問に対して憶測や推測で話をしない。余計なものは見せないない。
・ 的確・迅速に対応する。(質問等について不明な場合、即答する必要はありません。後日回答を行う。)
・ 敵意をむき出しにした態度はとらない。ムキにならないよう心掛け、自分の主張は毅然とした態度で行う。

 






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