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【税務調査でのペナルティはあるの?】

調査で隠蔽又は、仮装の事実が発覚し、修正申告を行うような場合次のようなペナルティが課せられます。

1.延滞税

法廷納期限の翌日から納付のあった日までの日数に応じて
a)2ケ月以内            ※
b)2ケ月経過後           年14.6%
a)法定申告期限から1年間           ※
b)修正申告書が提出された日から2ケ月以内    ※
c)修正申告書が提出された日から2ケ月経過後   年14.6%

※ 平成12年1月1日以後の期間対応分は、各年の前年の11月末日の公定歩合に年4%を加算した割合か7.3%のいずれか小さい方で計算します。

2.過少申告加算税

調査により修正申告をすることとなった場合、当初申告税額との差額(不足税額)に100分の10の割合を乗じて計算した金額

3.重加算税

調査により、隠蔽又は仮装の事実があると認定された場合、当初申告税額との不足税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額



【名義預金がある時の注意点は】

1.名義預金とは

調査官が特に問題とするのは、名義預金の存在です。
名義預金とは、本来相続人の財産でありながら、他の人の名義になっている預金のことを言います。
 名義預金に該当するか否かは、具体的に次により判断することとなります。
@ 預金等の設定・書換を誰が行っているか
A 通帳・届出印は誰の物か
B 利息・配当等を誰が受け取っているか
C 名義人の年齢、職業、収入

預金が名義人本人の財産とされるのは、次のような場合です。
@ 名義人本人に収入があり、この収入から本人が貯蓄したものと認められる場合
A 名義人本人には収入はないが相続、贈与等により形成されたと認められる場合
・ 家族預金は名前だけあって本当は被相続人のものではないのか?
・ 家族預金を相続財産もれと認定したい
・ 調査で名義預金の存在が発覚したら、本来支払わなくてもよい多額の税金を納めなければなりません。家族預金については、本当に本人のものかどうかをしっかり確認しておいて下さい。
・ 申告していない名義預金があれば、私どもに相談して下さい。

2.税務署の調査の手法

死亡時点と死亡の年の1月1日時点及び過去5年間程にわたって、本人及び家族名義の預金すべてについて、各金融機関に残高証明を求めます。
家族預金の増加年度において、正等な増加理由がなければ名義預金として疑います。

3.名義預金申告の際の失敗例

相続人は配偶者と子1人で、財産は均等に分配する。相続により取得した財産の価額(債務及び葬式費用控除後)は、5億7千万円である。
 ただし、うち1億円は、配偶者名義の預金5千万円と子名義の預金5千万円である。どのように申告すればいいのか相談を受けた。
ケース1:名義預金1億円を含め、適正に申告した場合
ケース2:名義預金を除いた金額で申告した場合
ケース3:申告期限から1年後に調査があり、名義預金1億円の存在が発覚したため修正申告をする場合
1億円が本当に本人のものであるかどうか確認した上で、名義預金であれば、相続財産に計上しておいた方があとあと有利になります。



【過去に土地を売却している場合は注意せよ】

生前、土地を売却している場合は、その売却代金の使途について調査の対象になる可能性が高いため、注意が必要です。
相続開始前に不動産等を売却している場合には、税務署では、その売却代金等の明細書を作成しています。
したがって、過去10年内に土地を売却している場合には、必ず、収支明細書をつくっておくことが必要です。

つまり、売却代金の収入と支出(@定期預金 A借入金返済 B結婚式等の慶弔費用 C自宅の建替え D生活費)の収支が一致するように、はっきりさせておかなければなりません。



【現物との突合調査】

1.現金預金、株式の現物を見せて下さいと言われたら

調査官は預金・株式の現物突合の際、次のような質問をすると予想されます。

@ メインバンクはどこですか?

A 銀行とのつきあいの深さについて
a)銀行の担当者の部署や役職は?
b)銀行の担当者が訪問する頻度は?

B それぞれの銀行の利用頻度がどのようですか?

C 普通・定期・積立その他預金の内訳は?
(1) 預金の出し入れはどなたがされていましたか?
(2) 死亡時点の預金の残高と現在の状況は?
(3) 有価証券はどこに保管されていますか?
・ 名義預金の存在の有無を把握する。
・ 実際の預金管理者を確認する。
・ 重要書類の置き場所の状況を調べる(金庫や押入れにまで調査官がついてくることもある。)
・ 申告されていない財産の資料を見つけ出す。

2.銀行預金のどこをみられるの?

調査官は通帳・預かり証券について名義人を問わず、次のものを調べて帰ります。

@ 口座番号
A 預金種別
B 取引内容
C 銀行の届出印

また、貸し金庫を借りている場合には、調査官は貸し金庫に同行し中に保管されているものを確認することがあります。
さらに貸し金庫の開閉記録を調べ、相続税の調査の事前通知後の開閉があれば、詳しく事情を聞くこともあります。
@ 机や金庫、通帳や有価証券の保管場所など、何を見られてもいいように整理しておくことが必要です。
A 申告されていない預金通帳、取引のない銀行の名刺や販促品、見られたくない銀行の書類や保管場所に注意しましょう。

3.手帳、日記、香典帳を見せて下さいと言われたら

調査官は、被相続人の手帳や日記、また、香典帳、電話帳などを見せるように求めることがあります。
・ 香典帳にある銀行名の預金はあるか?
・ 手帳の記載がある証券会社の株券はあるか?
@ 事前に香典帳等の内容を確認し、不明なものがないかどうかを調べておく。
A 誤解を招くような記述のメモがないかどうかを調べておく。



【相続人に対してどういうことを質問するの?】

1.配偶者の職歴について

調査官は配偶者の職歴について、次のような質問をすると予想されます。
@ 現在何かお仕事をされていますか?
A 以前どのようなお仕事をされていましたか?
B 生活費はどのようにされていましたか?
C 夫婦間での財産管理は、どうされていましたか?
・ 配偶者名義の預金が、本当に配偶者本人のものかどうかを確認する。
・ 年金が支給されている場合、それぞれのお金の使い道を把握する。
・ 収入に対する支出額の確認と生活ぶりを知る。
・ 夫婦間における贈与の有無を調べる。

2.その他の相続人について

調査官はその他の相続人について、次のような質問をすると予想されます。
@家族構成について現在の状況は?
a)被相続人との関係
b)各相続人の勤務先
c)各相続人の住所
A被相続人の子供について
a)独立したのはいつですか?
b)生活費について援助しているようなことはないですか?
c)特に同居している場合には、生計はどうなっていますか?
・相続人名義の預金が本当に相続人本人のものかどうかを確認する。
・名義は相続人でありながら、実際の資金の出所が、被相続人であるようなものはないか調べる(借入金の返済、積立預金等)
・相続人の収入の裏付けを把握して、名義預金(IX-1参照)や名義株がないかどうかを調べる。



【被相続人についてどういうことを質問されるの】

1.死亡原因について

調査官は被相続人の死亡原因について、次のような質問をしてくると予想されます。
@ 病気死亡である場合
a)病名は何ですか?
b)病気と診断されたのはいつですか?
c)その後の経過について、入院・通院をした病院はどこですか?
d)入院・通院の期間はどのくらいですか?
e)医療費の支払いはどうされていましたか?
A事故死である場合
a)死亡当時の状況は?
B遺言書はありましたか?
・ 被相続人の死亡前後のお金の動きを把握する。
・ 引き出した預金の使い道を把握する。
・ 保険金で申告もれのものがないかどうかを確かめる。
・ 遺言書に相続人の把握していない財産がないかどうかを確かめる。

2.前歴について

調査官は前歴について、次のような質問をすると予想されます。
@ どこにお勤めでしたか?
A 会社ではどのような仕事に従事されていましたか?
B 転勤をされたことはありますか?
C 転勤をされたことがある場合にはどのくらいの期間でしたか?
D 退職をされたのはいつですか?
E 公職に就かれていましたか?
・ 被相続人の収入を把握する。
・ 被相続人が受けた退職金の金額を把握する。
・ おおよそどのくらいの財産を残しているかを感覚で把握する。

1.趣味について

調査官は被相続人の趣味について、次のような質問をすると予想されます。
@ 趣味は何でしたか?
A 趣味がゴルフである場合、どのくらいの頻度ででかけていましたか?
B 趣味が書画骨董収集の場合、主な購入先は?
C 付き合いの範囲は?
・ ゴルフ会員権の有無を把握する。
・ 書画骨董などの財産の有無を把握する。
・ 被相続人の生活ぶりを知る。

2. 財産形成について

調査官は被相続人の不動産売買について、つぎのような質問をすると予想されます。
@ 被相続人が取得した不動産(土地・建物等)はありますか?
A 被相続人が生前、不動産を売却されたことはありますか?
・ 不動産の申告もれがないかどうかを調べる。
・ 不動産の売却代金が相続財産からもれていないかどうかを確かめる。



【調査中の対応はどうしたらいいの】

調査官は百戦錬磨です。
何食わぬ顔をして、様々なことを調べようとしています。
雑談の中にも常に疑いの目で調査にあたっているといってもよいでしょう。

@ 調査官の質問については、聞かれたことを素直に答えることにより協力的な姿勢を示し、好印象を与えるほうが良いと思います。

A 調査官にあらぬ疑いを持たれないように、余計なことは口にしないようにして下さい。

B 相続税申告に関する質問で即答できない場合は、調査に立ち会っている税理士に任せて下さい。



【税務調査への準備はどうしたらいいの】

実地調査は、相続人が財産を適正に申告しているかどうかを確認するものです。
@ 調査官の質問にきちんと答えられるように、日頃から「証拠書類」の整理保存を心がけて下さい。
A 税務調査の事前連絡があった場合には、調査の日程について、会計事務所と打ち合わせをして下さい。
B 調査官は、調査を進めていく上で、申告されていない資産や不表現の資産を見つけ出そうとしています。
→机や金庫等、書類や通帳その他の資産の保管場所の整理が必要です。
C メモ書きや打ち合わせ資料等、誤解を招きそうなものは処分して下さい。
D 亡くなった方・ご家族の方の名義を問わず、次のものの保管について、注意して下さい。
a)申告されていない他の預金通帳
b)取引のない銀行の名刺
c)見られたくない銀行の書類



【実地調査】

T.税務署が調査に入ったら

ほとんどの方から申告もれの相続財産が発見されています。
〈対応策〉
@ 国税庁の平成10年度分の発表では、調査一件あたり平均で、申告漏れ財産が3,789万円、相続税で862万円となっています。
A もし申告もれと疑われやすいものがあれば、相続税申告書提出前に会計事務所へ相談して下さい。会計事務所はお客様の立場で相談をうけています。

U.突然、税務署がやって来たら

大きな問題点があり、証拠隠滅が予測されるときには、税務署はアポイントをとらずに、やって来ます。

〈対応策〉
@ すぐに会計事務所に連絡して下さい。
A 調査官に税理士の立ち会いを要求して下さい。
B 調査の開始は税理士が来るまで待ってもらって下さい。
C 税理士等調査に対応できる人が不在の場合
a)出来ればお引取り願うのが、懸命ですが、現実は出来ない場合が多いと考えられます。
→調査に対応できる人に連絡をとり、直接調査官と打ち合わせをしてもらうことが必要です。
b)調査官に与えられている「質問検査権」は、家族全員に及びます。
→わからないことはハッキリと「わかりません」と答え、想像など曖昧な答えをするのだけはやめて下さい。
@ 任意調査だからといって頑固に調査を拒否すると、調査官にさらに疑いを持たれます。 A 捜査令状を持っている国税査察官でない限り、納税者の許可なしで調査を開始することは出来ませんし、無断で金庫や机の引き出し等をあけることも出来ません。



【税務署での調査対象の選定】

T.特に調査対象となる人とは

相続財産がたくさんある方は、一般的に税務調査の対象になる確率が高いわけですが、次のような方は特に税務調査の確率が高くなっています。
土地を売却したお金を妻や子供名義の預金にしているケースがあります。これを相続財産に計上していれば問題ないのですが、他人名義ということで相続財産に計上していないケースがかなりあります。
そのため生前中に土地を売却されている方に対しては、相続税の調査が集中するのです。

【調査官の意図】
・土地代金の流れを追いかけて相続財産のもれを見つけ出す。
現金や銀行預金をたくさん持っておられる方は、生前中に自分の預金を贈与したことにして、家族名義の預金に変えておられるケースがかなりあります。白色申告の医師や、不動産所得者の方は、常日頃、税務調査を受けられるケースが少ないため、このような問題も見逃されてきています。そのため、相続調査の時点で問題点が一度に出てしまうのです。

【調査官の意図】
・家族名義の預金でも本当は本人のものではないのか?
・贈与したといっても本当に贈与の要件に該当しているのか?