教育訓練を実施する際に支給される雇用調整助成金とキャリア形成促進助成金について

教育訓練を実施する際に支給される雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)とキャリア形成促進助成金についてご報告いたします。

雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)は、景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図る場合、その賃金の一部を助成するものです。管轄は、厚生労働省です。

支給要件として、最近3ヶ月の生産量、売上高等の指標がその直前3ヶ月又は前年同期と比べて5%以上減少していること?実施する休業、教育訓練及び出向が労使協定に基づくものであること等。

受給手続として、事業主が指定した1年間の対象期間について、実際に休業を行う判定基礎期間(賃金締切期間)ごとに事前に計画届を提出することが必要です。

大きな特徴は、休業中の期間を活用して行われた教育訓練に対し一定の助成金が支給されることです。

一方、キャリア形成促進助成金は、その雇用する労働者のキャリア形成を促進するために年間職業能力開発計画に基づき、その計画に取り組む事業主に対して支給されるものです。管轄は、独立行政法人雇用・能力開発機構です。

このたびは、そのキャリア形成促進助成金のうち、「その雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させることを目的とする職業訓練等を受けさせる事業主に対する助成措置」について受給資格認定申請を提出しました。対象は、中小企業のみです。

助成金額は、経費助成として、訓練に要した経費の2分の1に相当する金額、?賃金助成として、訓練を受講している時間に対して支払った賃金として一定算式で計算した金額の2分の1に相当する金額の合計額となります。

助成金申請手続きの流れは、次の通りです。

1.職業能力開発推進者の選任

事業主は、厚生労働省令で定めるところにより職業能力開発推進者を選任するように求められています。

職業能力開発推進者は、事業所における職業能力開発を円滑に推進するためのキーパーソンともいえます。

職業能力開発推進者の選任届出は、都道府県職業能力開発協会です。

2.事業所内職業能力開発計画の作成

事業所内職業能力開発計画(以下「事業内計画」といいます。)は、事業主が、従業員に係る職業能力の開発及び向上を段階的かつ体系的に行い、職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するために作成する計画をいいます。

事業内計画に盛り込まれるべき項目は下記の通りです。

  • 事業内職業能力開発計画の基本方針

  • 従業員のキャリア形成に即した配置その他雇用管理に関する配慮

  • 従業員のキャリア形成を促すために各職務に必要な職業能力の明確化と明示

このように書きますとなにか重々しい書類を提出するように思われますが、事業内計画は、企業が事業活動を行うために従業員にどんな能力を求めているのか、その能力を習得させるためにどのように育てていくのかなどの方針を示すものです。企業は従業員に対してこの事業内計画を周知し、従業員は企業が提供する訓練等の機会を活かして自らの職務能力の向上を目指すことが、この事業内計画を作成することの意義といえます。

3.受給資格認定申請

1、2の資料とともに、独立行政法人雇用・能力開発機構の各都道府県センター(以下「各都道府県センター」といいます。)の求める資料を添付し、各都道府県センターに申請します。

受給資格認定申請の時期は、3月、6月、9月、12月となっていますが、初めて助成金を活用する場合は、訓練等の開始前であれば随時申請することができます。

4.助成金対象となる訓練コースについての留意点

助成金の対象となるのは、1コースの訓練時間数(昼休み等の休憩時間、移動時間、予習復習の時間等を除きます。)が、10時間以上であることが前提です。

助成金対象とならない訓練として次のものが挙げられます。

  • 職務に直接関連しない訓練(例:普通自動車運転免許の取得のための訓練)

  • 職業人として必要となる知識・技能を習得させる内容のもの(例:マナー講習会)

  • 専らビデオのみを視聴して行う講座

  • 通常の生産活動と区別できないもの 等

訓練に要した経費には、消費税はふくまれません。また訓練の行われる場所までの交通費・宿泊費等は経費に含まれません。

5.訓練等の実施

受給資格認定を受けた後、申請した年間計画のとおり訓練等を実施します。

支給申請時には、訓練コースの出欠状況及び実施内容を証明する書類や、経費の支払を確認できるもの等の書類の提出が求められますので、訓練を実施している時からこれらの書類の準備を進めてください。

6.受給資格認定変更申請

助成金の助成対象となる訓練等は、年間計画で計画され、かつ年間計画期間内に実施されるものですので、当初計画していなかった訓練等を実施する場合は、訓練開始前に必ず年間計画を追加し、受給資格認定の変更手続を行ってください。

7.支給申請

年間計画に基づき実施され、終了した訓練等について一定書類の添付とともに支給申請をすることができます。支給申請時期は、次の通りです。

訓練等の終了時期

支給申請期間

4月〜9月の期間に終了したもの

10月1日〜11月末

10月〜翌年3月の期間に終了したもの

4月1日〜 5月末