Q.5
個人事業のクリニックを子に譲り渡し、勇退する際に個人事業主である院長(自分)や同時にリタイアする院長婦人に対して、退職金を支払うことができるのか教えて下さい。

A.5
 個人事業主である院長に対して、退職金を支払うことはできません。つまり、退職金として支払ったお金は、所得税の計算上必要経費とならないのです。これは、事業主である院長に対する退職金が、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であるといえないからです。同様に、院長の奥様(青色専従者となっている場合を含む)に対する退職金も、奥様が院長と生計を一にする親族である限り、必要経費とは認めません。
 ただし、個人事業主に退職金に代わる制度として、小規模事業共済という制度があります。この共済制度はそもそも個人事業主の退職金準備の制度で、受け取った共済金は退職所得として課税されます。その計算は、受取額から退職所得控除額を控除し、さらにその2分の1の金額が退職所得となり、所得税の課税対象になります。課税対象額は他の所得(事業所得、雑所得等)と合算しませんので、課税上有利な取扱いになっています。また、小規模企業共済の掛金については、全額支払った年の所得控除として取り扱われるため、税務上のメリットは大きいと言えます。

 

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