Q.6
個人クリニックを親子間で承継しようと考えています。「土地・建物の承継」「医療機器の承継」「負債の承継」のそれぞれの注意点を教えて下さい。

A.6
 まず、「土地・建物の承継」については、後継者に「売却」「贈与」「貸付け」を行うことになります。この選択によっては、「売却金額をいくらにするか」「使用貸借にするか」「賃貸借なら賃料をいくらにするか」などを決める必要があります。これは承継後の院長の不動産所得にも影響しますし、相続が発生したときは「小規模宅地等の評価減が何% 適用できるか」「相続時精算課税による贈与をしたほうが有利になるか」などの問題がでてきますので、事前の準備が必要になります。
 次に「医療機器の承継」についてですが、医療機器も「売却」「贈与」「賃貸」が考えられます。売却を選択し、売却益が出た場合は、総合譲渡による課税関係が発生し、買い手は中古資産の減価償却により毎年の必要経費にすることができます。贈与は、暦年課税により110万円の控除が適用でき、受贈した子はその時点の帳簿価額で減価償却することになります。賃貸は、医療機器が高額で、購入や贈与が困難なときに有効です。親子が生計を一緒にしている場合、院長の減価償却等がそのまま子の事業所得の必要経費となり、院長には所得が発生しません。生計を別にしている場合は、子の事業所得の経費になり、院長の雑所得になります。リース料 は、標準的なリース会社の料率を用いれば問題ありません。
 最後に「負債の承継」についてですが、未払金や借入金は、一般的にはそのまま承継することになります。保証人や担保の追加・変更など銀行との手続き上の打合せが必要になる場合もあるので、事前に融資担当者と相談することが必要になります。

 

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