Q.20
私は医療法人を設立して病院を経営していますが、このたび子に理事長を譲ることになりました。ただし、私もしばらくの間は診療を続ける予定なのですが、それでも退職金をもらえるのでしょうか。

 

 

A.20
理事長引退後も引き続き勤務する場合には次の要件を全て満たす場合に限り退職給与として認められ、法人税法上、適正額が損金(経費)となります。
① 非常勤役員への降格、報酬の激減(おおむね50%以上減少)など、職務内容や地位が激変したことにより退職に準ずる事実が生じたと認められる。
② 今後非常勤役員等も退き本当に退職するときに、そこで支給する退職金の算定上、今回支給する退職金の算定の基礎とした期間を一切加味しないこととしている。
③ 形式だけでなく実質的にも現在の地位を退き、今後法人の経営上の主要な地位を占めるようなことはない。
以上の要件を満たさないのに支給した場合には役員賞与とみなされ、支払った医療法人の側では損金(経費)になりませんし、受け取った個人の側では退職所得ではなく給与所得として課税されてしまいます。仮に、勤務20年の理事長が退職し、退職金1億円程度支給したとすると、所得税・住民税の金額は倍以上になってしまいます。
さらに、注意していただきたいことは、質問のケースで上記①〜③の要件を満たし、退職所得として認められる場合でも、適正額を超える部分の金額は過大役員退職金として損金となりません。一方、役員退職金を受け取った個人に対する所得税の課税は、法人税法上、過大役員退職金として取り扱われる部分の金額についても、退職所得の収入金額として取り扱われます。

 

質問等がありましたらお気軽にお問い合わせください。

専門のスタッフが不安や疑問にお答えします。

メールでのお問い合わせはこちらから