Q31病医院においても予算管理は行った方がいいですか?

 

A31

予算管理は病医院の健全な財務体質を形成する上で欠かすことのできないものであり、達成可能な計画を作成し、その計画と実績を比較検討しながら問題点を解決することで、経営業績の向上や改善を図ることができます。病医院において、予算管理を行うことによるメリットとして、主に以下の6点が挙げられます。

(1)予算はそれぞれの目標や方針などに基づいて立案されるため、理事長や院長先生の医療理念などをスタッフに理解してもらうことにつながります。
(2)予算を策定することで、理事長・院長先生は診療に専念することが出来るようになることにつながります。
(3)消灯習慣やスタッフの意識の向上など、増収や経費削減のための意識的な行動をとるようになることにつながります。
(4)増患対策やインフォームドコンセントなど、医業収益の向上策を考える習慣が身につくようになることにつながります。
(5)費用予算により薬品仕入、検査、人件費、厚生費などについて、予算に沿った効果的な仕入れ、支払いを実現出来るようになることにつながります。
(6)毎月の予算実績比較表により、早期に異常値の発見ができ、早期対策が可能となることにつながります。

実際に策定する予算には次のようなものがありますが、それぞれ留意点がありますので、しっかりと理解したうえで予算を策定することが重要となってきます。

(1)固定費予算
固定費は、年間を通じて医業収益の増減にほとんど左右されず、一定額で発生する性格を持っています。つまり、前年度の実績額が参考になります。意識的に変えられる予算として交際費、広告宣伝費、研修費などがありますので、必要度合いに応じて予算立てをするとよいでしょう。
(2)変動費予算
病医院の変動費の代表的なものとしては、「薬品仕入」「検査手数料」「医薬消耗品」などがあります。これらは、医業収益に増減比例する性格を持っています。計画的な仕入や価格交渉などによって、発生額を抑えることも可能ですので、十分な検討が必要です。
(3)医業収益予算
医業収益予算は「固定費」「変動費」「医業利益」の金額をカバーするものです。患者数の推移、新患割合、検査件数、平均点数などを検討し、予算測定が必要となります。
(4)資金予算
年間を通して資金繰りがトントンの状態を収支分岐点売上高(医業収益高)といいます。スタッフの賞与の支給時期には大きく資金が必要となり、比較的暇な時期の2か月後には基金等からの入金が少なくなります。このような月には、資金不足の可能性があり、銀行での短期借入を検討する必要性が生じるケースもあります。 

 

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