Q32自院の収益性の分析をするために役立つ数字の見方を教えて下さい。

 

A32

クリニック経営においては「総資本医業利益率」が、収益性を分析する上で特に重要な指標となってきます。これを高めるには、「総資本回転率」と「医業収益高医業(経常)利益率」の向上が重要です。

・総資本医業利益率 = 医業収益高医業利益率 × 総資本回転率 × 100

・医業収益高医業利益率 = 医業利益 ÷ 医業収益高
・総資本回転率 = 医業収益高 ÷ 総資本

「総資本回転率」の改善には、医業収益の増収と総資本の圧縮が考えられます。医業収益の急激な増収は期待できないので、総資本を圧縮することを検討します。回転率の低下は、検査頻度の少ない医療機器、医薬品在庫の持ち過ぎなどが原因です。これらを整理、処分することで資産が圧縮できます。貸借対照表の見直しを検討してください。
「医業収益高医業(経常)利益率」の維持・向上には、無駄な経費の削減と収益がアップしても利益率が下がらないように、的確な利益管理が必要です。医業収益の増減にともなう費用として、医薬品費・診療材料費・検査委託費など(変動費)や給与費・水道光熱費・減価償却費・地代家賃・賃借料など(固定費)の医業収益に占める割合について、M-BASTなどの他のデータとの比較が有効です。ちなみに、給与費比率を引き下げるには、残業を減らすなど、1人当りの効率(生産性)を上げること、材料費比率を引き下げるにはジェネリック薬品を含む効用と仕入価格の検討が必要です。
なお、この「総資本回転率」と「医業収益高医業(経常)利益率」は背反関係になりやすいので、注意が必要です。しがたって、医業収益高が上がっても利益率が下がることのないように適切な利益管理と、過剰資産を抱えることなく資本回転率を高めるような総合的な資本、資産管理を行うことが大切です。

 

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