Q33コスト管理を考える際のポイントはありますか?

 

A33

(1)病医院の費用(コスト)は、管理可能費と管理不能費に分けて考える。
管理可能費は、比較的容易にコントロールできるのですが、管理不能費は人為的にコントロールすることが難しい性質を持つ費用のこととなります。 変動費は、変動幅が固定的との理由から管理不能費に位置づけられることもありますが、経営的に考えれば管理可能費ということになります。固定費は、コントロールできるものとできないものがあるということで、管理可能費と不能費にわけられます

・管理可能費のコストコントロール
たとえば、医薬品費等は医薬品仕入先の再検討、仕入価格の入札導入による検討、在庫数量の適正化などによりコストをコントロールすることが可能となります。職員給与・賞与であれば給与規定の見直し、人事制度の改善策により公平な給与体系の確立を図る。退職金であれば、退職金規定の整備、支払い原資の準備等、福利厚生費であれば、院内旅行や定期ミーティング・食事会などのスケジュール化をすることがコストのコントロールとなってきます。

・管理不能費のコストコントロール
地代家賃等は、賃貸契約を締結すると、その契約期間中は、決められた月額賃料を変更することができません。また、電気代についても、ワット数や照明器具の大きさで、ほぼ一定の費用が発生します。このように、管理不能費は人為的にコントロールすることが難しい性質を持っています。 
しかし、前提要件を変更することができればコントロールできるともいえます。たとえば、地代家賃の場合、借用面積を拡大、または縮小、病医院の場所の変更、賃料の値下げ交渉などを行い、発生する費用額を増減することができます。つまり、管理不能費でも理事長や院長が、思い切った意思決定を行うことで、コントロールすることができるということです。


(2)コスト管理はスタッフ全員で取り組む
コストを管理するということは、病医院の経営資源を管理することでもあります。 病医院全体のコストを、1人のスタッフで管理することは不可能です。管理可能費については、理事長や院長、その奥様、事務長らが中心となり、政策的、意識的に決定し、管理することが一般的です。しかし、管理不能費は、時間の経過とともに発生する費用が多いため、仮に管理者が不在の場合には、その費用科目が自然発生的に1人歩きする性格を持っています。   
たとえば、不要な時間やスペースで照明がついたままだとします。すると、スタッフの誰かが気が付いて消灯しないかぎり、電力は消費し続けることになります。全スタッフがコスト管理者になってこそコストコントロールは成功します。そのためには、コスト意識についてのスタッフ教育も重要になります。 コストは病医院が提供する医療サービスを支える重要なものであり、そのコストを管理するということは、病医院の経営資源を管理することでもあります。自院の経営資源の有効活用が、コスト管理の基本なのです。

 

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