QO6 事業経費と家事費の区分
当医院は、一階を診療所に、二階を住居にしています。毎日領収書の整理をしていますが、事業経費と家事費の区分方法について教えて下さい。また、飲食や贈答品についてはどこまでが交際費となるのかの判断基準を教えて下さい。

 

A06
住居併用医院の場合には、単独の医院に比べ特に事業経費と家事費が混同しやすくなってしまうため、しっかりと区分することが大切になります。以下、診療所で発生する経費で混同しやすいものを検討してみましょう。

①水道・電気・ガス・電話・FAX料金
→ これらの経費については、住居と診療所でメーターもしくは回線を分けた方が好ましいです。ただし設計上の問題や金銭的な問題により分けられない場合には、合理的な按分方法 (占有面積率による按分等) により按分して計上します。

②車に関する費用
→ Q8を参照して下さい。

③減価償却費・火災保険料
→ 住居併用医院の建設時に工事の内訳明細等により住居と診療所とに分けて資産の計上をします。事業経費として計上できるのは、診療所部分に係る減価償却費と火災保険料のみです。

④飲食・贈答品代
→ 飲食費や贈答品代については、 交際費に該当するものが事業経費となります。 
交際費の3要件 具体例 具体例 
① 支出の目的 … 
「交際費、接待費、機密費その他の費用」 事業を円滑に経営していくための支出 
② 支出の相手先 … 
「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」 患者、提携病医院、薬局、出入り業者、出身大学の知人、医師会関係者、自院の勤務医・看護師・職員などの内部利害関係者 
③ 行為の形態 … 
「接待、供応、慰安、贈答、その他これに類する行為」 お中元、お歳暮、旅行や食事への接待行為等 

交際費は、上記の3要件を全て満たすものと規定されています。
従って、いわゆる事業主である院長自身の自己接待費、院長自身の家族との飲食費、事業遂行上関連性の乏しい親族や友人との会食代などの私的な接待交際費は家事費に該当するため、必要経費には算入できません。

(注)交際費として認められるものは事業経費となりますが、法人税の計算上は、経費として算入できる金額に限度が設けられています。

※交際費の損金算入限度額の計算

(1) 個人クリニック ・・・ 全額が経費として算入できます。
(2) 医療法人
①拠出金1億円以下 ・・・ 定額控除限度額年600万円に達するまでの金額については、支出額の90%を経費として算入できます。年600万円を超える金額については、経費として算入できません。
②拠出金1億円超  ・・・  一定全額が経費として算入できません。 

 

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