Q16 非常勤医師に対する源泉徴収
当医院は、非常勤医師に対してその都度給与を手取り契約にて支払っています。この場合、注意することがあれば教えて下さい。

 

A16
医療機関では、慣習として非常勤医師の給与を手取りベースで契約し勤務の都度現金で支払うケースが見受けられます。 非常勤医師は他にもいろいろな勤務先での収入があるため、 非常勤の勤務先に対しては「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出をしていないのが一般的です。

このような場合、非常勤医師の給与に対して適用される源泉徴収税額は、日額表 (勤務の都 度現金で支払っているため) の乙欄 (「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がないため)となります。 

例えば、1日あたり手取り5万円の非常勤医師 (扶養親族等の数が0人、社会保険料等の控除がないと仮定します。) の場合、源泉徴収税額は日額5千円となります。仮に1ケ月8回支払いますと、当該常勤医師の給与手取額は40万円ですが 別途、源泉徴収税額を月額4万円納付する必要があります。

<1日あたり手取り5万円の場合の日額表乙欄の計算例〉
・源泉徴収税額=11,930円+(社会保険料等控除後の給与総額-33,000円) 
 ×31.5% =5,000円 
・手取逆算式 : X-{11,930円-(X- 33,000 円)x31.5%}=50,000円
・X-税込日額=55,000円
・ 源泉徴収税額=税込日額-手取額-5,000円

このように、非常勤医師に対してその都度給与を手取り契約にて支払っている場合、故意でないにしても源泉所得税の徴収漏れが起こりえます。税務調査の際には、過去3年または5年分の徴収漏れを指摘されることがあります。後になって本人から徴収することは難しいため、代わりに負担することになってしまいます。

なお、源泉所得税については、法人税・消費税とは別に、源泉所得税単独で税務調査が行われることもありますので、注意が必要です。

 

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