Q17 初期投資の処理について教えてください

 

A17 解 説

 

クリニックの初期投資は、一般的に高額になるため、より正しい経理処理が求められます。初期投資の支払の中には、繰延資産という費用にも関わらず資産を購入した場合と同様な処理をするものがあります。特に開業した年には繰延資産として処理すべき支払も多くなりますので、注意が必要です。

 

1.初期投資の分類

 

クリニックの開業にあたっては、診療科目や診療方法にもよりますが、建物の建設・購入・賃借、内装工事、医療機器など、初期投資は一般的に高額になります。

初期投資の内容とその取扱いの概要は以下のようになります。

 

(1)建物や設備、構築物、医療機器、レセコンなどの器具備品など資産の購入

→ 固定資産として取扱い、減価償却費として必要経費にしていきます。

 

(2)物件探しの交通費、調査費用、打ち合わせ費用、開業コンサルタント報酬等費用の支払い

開業した年の売上げにのみ対応するもの

→ 必要経費として控除します。

その支払の効果が翌年以後にも及ぶもの

→ 固定資産(繰延資産)として取扱い減価償却費として必要経費にしていきます。

 

2.繰延資産の取り扱い

 

(1)繰延資産の償却

繰延資産はその効果の及ぶ期間にわたって、それぞれの年ごとに、その支出した費用の一部を「償却費」として必要経費にしていきます。ただ、その効果の及ぶ期間が明確でない費用もありますから、その場合は税法で償却期間を定めています。

開業にあたり、よく登場する繰延資産の例とそれぞれの償却期間を以下にまとめます。なお、繰延資産は、その総額が20万円未満の少額なものは、翌期以降に及ぼす影響が少ないこと、また計算が煩雑になること等から、全額がその支出した年分の必要経費になります。

 

<繰延資産の例と償却期間>

支出の内容・種類

償却期間

医師会・歯科医師会その他の入会金

5年

開業準備のために特別に支出した費用(開業費)

5年(任意償却可能)

 

(2)償却費の計算

償却費は以下の計算式にて算出します。

 

償却費 = 繰延資産の額 ×  その年の業務月数 / 償却期間の月数

 

 

 

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