Q23 妻に給与を支払うことが出来ますか?

 

A23 解 説

1.青色専従者給与

生計を一にしている配偶者やその他の親族が診療所経営に従事した場合に支払われる給与は原則として必要経費にはなりません。

しかし、青色申告者の場合配偶者やその他の親族を青色事業専従者として届出を出すことによって必要経費に算入することが出来ます。

 

(1)専従者給与の要件

次のいずれの要件にも該当する必要があります。

 

①青色申告者と生計を一にする配偶者またはその他の親族であること

②その年の1231日現在で15歳以上であること

③その年を通じて6ヶ月間を越える期間その青色申告者の営む事業に従事していること。

(一定の場合には事業に従事する事が出来る期間の2分の1を越える期間従事すること)

④青色申告専従者の届出を支給する年の315日までに提出していること

(新規開業の場合開始してから2ヶ月までに提出)

 

(2) 専従者給与の適正額

 青色専従者に支給する額は、所得税法によると『その労働の対価として相当な金額であること』とあいまいな表現になっています。

しかし、金額に妥当性を持たせる為に以下の点に注意して支給額を決める必要があるでしょう。

 

①勤務実態や執務内容を考慮した適正な金額であること

②専従者の年齢、資格、従事期間に見合った金額であること

③支給額が他の職員と比べて著しく高くないこと

④同じ規模の医院と比較して著しく高くないこと

 

一般的に専従者給与は他の従業員と比べると通常の業務の他、給与計算や会計業務の記帳、医院の資金繰り等を行うという理由により高額になることもあります。

この場合には、タイムレコーダーにより出勤確認をすることはもちろんのこと、業務内容を明確にする為に業務日誌をつけておくこと、会計帳簿の記帳をしていればその筆跡の確認も行えるといったその後の税務調査の為に勤務実態を実証するための資料を残しておくことが重要といえます。

 

(3)事業専従者給与に関するQ&A

事業専従者について気を付けたいポイントをQ&A形式で以下にあげます。

 

Q

青色事業専従者給与が未払いになっている場合には、必要経費にできますか?

A

原則として、青色事業専従者給与は現実に給与を支給したものでなければ、必要経費にできません。ただし、未払いになった経費に相当の理由があり、かつ短期間に現実の支給がされている場合(月末支払のところ資金繰りの関係で翌日10日に支払った場合など)には認められます。

 

Q

青色事業専従者である妻が病気で入院していた2ヵ月分の給与は必要経費に認められますか?

A

事業に従事していない期間に対して支払った専従者給与は必要経費として認められません。労働の対価ではなく妻に対する贈与だと考えられます。

 

Q

赤字の場合に支払った青色専従者給与は必要経費にできますか? 

また、青色事業専従者の給与が事業主である院長の所得より多くなってもよいのでしょうか?

A

所得が減少したり赤字になったことにつき相当の理由がある場合は、その専従者給与が適正額である限り必要経費にできます。しかし、通常の経営で毎年赤字になっているような場合は、その給与の是非、給与の額が適正であるかどうかを検討する必要があります。

 

2.白色専従者控除

白色申告の場合には、専従者にいくら多額の給与を支払っても一定額しか控除されません。その年に控除できる額は、配偶者が最高86万円、その他の事業専従者は1人につき最高50万円です。なお、クリニックの所得金額を事業に従事している家族の人数(専従者+1)で割った金額(これを(A)とします)が限度額に満たない場合には、控除額は(A)の金額となります。従って、事業所得が赤字の場合には、控除額は0円になります。

 

事業所得の金額 / (専従者の数+1)

< 50万円 (配偶者の場合は86万円)

A

 

※「専従者の数+1」は、事業に従事している家族の人数(専従者と院長先生)を表しています。

 

 

 

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