医療経営のための税務調査対策
Q&A
- Q 9 寄附金
- A 9
個人事業の場合には、事業所得の計算上、必要経費とはなりません。なお、学校法人など特定の団体に対する
寄附については、寄附金控除の対象となります。
医療法人の場合には、本来院長個人が負担すべきものであり、役員給与として取り扱われます。
【個人事業者の場合】
国立大学法人や私立大学等の特定公益増進法人に対する寄附金は、所得税で寄附金控除の対象となる特定寄附
金に該当します。
寄附金控除は次の算式で計算します。
次のいずれか低い方の金額 一 2千円 = 寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の合計額
ロ その年の総所得金額等の40% 相当額
ただし、学校の入学に関してする寄附金は特定寄附金の対象外となります。
したがって、院長が新入生の父母の場合、所得税法では学校の入学に関してするものとみなされ、寄付金控除
の対象とはなりませんのでご留意ください。
【医療法人の場合】
ご質問の場合、法人が負担する寄附の相手先は院長の母校というだけであり、本来は院長個人が支払うべき
ものです。したがって、法人が負担する金額は院長に対する給与として取り扱われます。このような臨時的な
給与は、法人税では損金算入の要件を満たさないこととなります。さらにこの分の給与に対して所得税の源泉
徴収が必要となります。
なお、院長は寄附金が給与所得として課税されますが、所得税の確定申告において上記〔個人事業者の場合〕
の寄附金控除の適用を受けることができます。